霧の立ち込める山深く、浮遊している存在たち。
 
生前の「カルマ」によってそこに留まり続け、
 
終わりのない異次元の時間の中での
果てしないモノローグから、静かな狂気が滲み出す。
 
世界から孤立し、降り積もる時間の狭間を彷徨う人々が、
行き着く先とは…
 
 
photo:Osamu Awane 
劇団阿彌 GEKIDAN AMI
第十四回公演 『静かなる傾斜』
 
会場:シアター・バビロンの流れのほとりにて
(東京都北区豊島7-26-19,東京メトロ南北線「王子神谷駅」徒歩12分 MAP
 

2012年11月
9日(金)…19:30 開演
10日(土)…14:00 開演/19:30 開演

 
前売 2,500円/当日 3,000円/ペア券 4,000円(要予約)
※全席自由席、開場は開演の30分前です。開演直後は演出の都合上、入場をお待ち頂く場合がございます。
 
 
予約・お問合せ(東京バビロン)
http://www.tokyobabylon.org
 
劇団阿彌 GEKIDAN AMI
 
台本・演出:岡村洋次郎
(阿彌,主宰/東京バビロン,企画プロデューサー)
 
CAST
嶋津和子、中島理乃、坂入友里香
石黒繭子、福井陽介、小島一洋
佐藤ペチカ
 
 
STAFF
音楽・音響:落合敏行
照明:三浦あさ子
舞台監督:佐藤一茂
衣装:櫻井基順
(MEME)
宣伝美術:丘 美恵太
オブジェ作品
(写真):丸野由希子
映像記録:たきしまひろよし
(PLASTIC RAINS)
舞台写真:阿波根 治(スタッフ・テス)
制作:坂本康郎
提携:東京バビロン
http://www.tokyobabylon.org
 
 あの日、家の様子を振り返って見ましたが
 普段とまったく変わっていないように見えました。
 
 時々ぺスの鎖のジャラジャラという音が聴こえていたし
 妹たちは、静かな部屋で
 漫画を読んだり宿題をしたりしていました。
 
 食事の準備をしている母が、遠い台所にひとりいて
 玄関にいる父は、記憶の中にいるように
 音もなく靴を脱いでいるところでした。
 
 ぺスの吠える声が透明に響く
 誰にも邪魔されない
 
 静かな午後でした。
 
 阿彌の舞台は、日常のテンポから切り離された、
 
 静かで澄んだ空間…
 
 そこで初めて見えてくる人と人、人間と空間の生きた交流、
 
 静寂の舞台ゆえに、観客の無意識層まで浸透してゆきます。
 
 「怖しくも美しい舞台」として、静かなしかし圧倒的な支持を得ています。
 
 観るだけではない、体験していく舞台を 心ゆくまでお楽しみ下さい。
2012.4 『昭和神曲煉獄篇』
―少年少女心中 ©宮内勝
岡村洋次郎 Yojiro Okamura
 
阿彌,主宰、東京バビロン,企画プロデューサー。1948年生。竹内演劇研究所
(故・竹内敏晴,主宰)において、「生命のレッスン」を通して、舞台創造の
根源に触れる。その後、故・観世栄夫(観世流能楽師)に師事。
日本の演劇史の流れの中に居ない希有な存在である。
 
また、前衛的拠点劇場「東京バビロン」(pit 北/区域、シアター・バビロンの
流れのほとりにて)のオーナーであり、演劇・舞踊等の企画プロデューサー
としても活動中。

2009.8 『静かなる傾斜』
題材/宮崎勤 連続幼女誘拐殺人事件
神戸児童連続殺傷事件 他 ©阿波根治

2010.7 『青いクレンザーの函』
―シベリアの空から… ©阿波根治
20世紀末以来、かつてない<少年犯罪>の時代を私達は経験しています。
その少年達は、私達と地続きの、時代の最も純粋な当事者なのです。
 
人間が根底から破壊されていくような、この時代の空気の狂気じみた閉塞感を、どう解消していったら良いのか、私たちは指し示す方向さえ掴めていません。
 
自分の外の世界を恐れ、誰も信じられない触れ合えない圧倒的な孤独。
目を閉じると、自分が宙に浮かんでいる様な、存在の不安。
 
その不安ゆえに、時代を象徴する犯罪を辿る舞台を創造することは、私たち自身への切実な問いかけであり、また使命であり責務であると感じています。
 
阿彌 一同
 
アンケートより
 
美術品の様な
絵画のようなお芝居ですね
この世界に落ちたまま
一人で帰るのはこわい気が…
 
哀しいのか寂しいのか
わからない涙が… (56歳・女性)
 
 
はっきりいうと毎回見て疲れる芝居です。感想と言うよりのこるのは疲労感と嫌悪に近いモヤモヤした感情。
帰りの足取りもなんとなく重い、そんな気分にさせられます。
でも何故かまた見に来てしまうという、形のないものが心に残るのは事実です。
また今日も重い足どりで帰ります。
 
 
無表情と反して体の細かな動きや呼吸に引き込まれました。
きれいでした。(17歳・女性)
 
 
先日は久しぶりに精神性の高い能を見ているような心をゆさぶられる深い感慨を覚えました。悲惨な題材にも関わらず、美しい心象風景として、言葉の詩的な役割が更に深く伝わって参りました。静かな動きが人間の持つ悪と善なる魂を伝えてくれました。 (女性)