2011年5月
東京バビロン Dance Selection
『彼女達の理由#02』
『リアリティを削ぎ落とし、
感動を剥奪せよ。
鑑賞者を殺せ。
その裸系の表現行為によって、
無意識を揺さぶれ!』 
 
いま時代の空隙から、
その純粋なるアクチュアリティの、
静かな絶叫。
会場:「pit 北/区域」
日程:2011年5月6日(金)〜8日(日)
時間:19時 開場、19時30分 開演
料金:前売 2,500円、当日 3,000円、通し券 6,000円
予約・お問合せ http://www.tokyobabylon.org

5月6日(金) 第一部:朝弘佳央理(ダンサー)/第二部:藤木恵子(ダンサー)
朝弘佳央理 『輪郭』
ヴァイオリン:栗明美生 衣裳:横畑早苗
 
ラ・ダンス・コントラステ、AAPAに所属活動中。
演劇やオペラにも出演。ソロ活動では他分野のアーティスト
と共演する形でダンスを踊っている。
近年写真家としても活動。
 
http://chloe.petit.cc/
 
 
4/14 出演者ミーティングより抜粋/朝弘佳央理

 
自分の根底にあるもの。
作品を作るにあたって、自分がどういう風に生きてきたか、どう世界に接してきたか考えた時に、(私は写真も撮っていて、)写真を撮る時のことを最初考えたんですけど、私は良いと思ったものに出逢ったら撮るのが好きなんですね。自分の頭の中のイメージ通りに何かセッティングして撮るのは苦手なんです。
 
という形でやってきたんですけど、これからは自分が漠然と受取ってきたものに、はっきり輪郭を与えることを課題にしたいと思っています。
 
あとは、それとは逆のことなんですが、
名前をつける前、役割を知る前の感覚や身体の動きを、思い出したいとも思っています。
藤木恵子 『破壊しに、と彼女は言う』
 
真直線な言葉も、気取った言葉も並べたくない。
と思うのは踊り手の白痴さゆえか。呆けた顔で立ち尽くす。
喜びとむなしさと。スポットライトを遠目に見て、うぶな振りをする。
 
 
4/14 出演者ミーティングより抜粋/藤木恵子
 
震災の後、稽古場に行っても何もできない状態が続いた。何もかも自分の中から無くなって。そこから本当に自分が何をやりたいのか作っていくしかないんだと思うんですが。
 
ただ、今回のことは自分が引き起こしたことなんだという思いがあって『俺が原発だ』という感じがするんです。海の中のお魚に詫びも入れられないという気持ちがあって。
 
鎮魂という言葉は自分の中にはなかったんですが、鎮魂が自分にできるかということはわからないですが、自分なりの鎮魂ができればと思います。自分はどうやってこの場に花開いていくのか。それを問うてやっていくしかないと思っています。時代の本質は、私の本質だと、思っています。
 
 
5月7日(土) 第一部:今野眞弓(舞踏家)/第二部:入江 平(舞踏家)
汐が街に浸食する時、
私は坂道を登る。
(C) 飯嶋康二
今野眞弓 『ゆらりゆられて』
 
4/25 出演者ミーティングより抜粋/今野眞弓
 
今、ワタシにできることをやります。
それはリアス式です。
東京、それは未だ
辿りついていない
3行目にある。
真ん中の行にいよう。
目を閉じさせているのは君、
と言いかけた所からもう一度。
入江 平 『Gravitations Paralleles』
 
今回のソロ試作
「GRAVITATIONS PARALLELES 平行な重力」

 
 過去というチューブから否応なく押し出される私の現在
 現在という嗅覚をつく肉体から飛ばされざる私の未来
 未来に触れる間もなく流されていく私の過去
 
 「時間」それらは交わるようでいて循環しているようで、または常に平行線を辿っているようでもあります。
 そのものを独立した固体又は人物像として置き換えてみようという試み。
 くどいようですが、過去に追われている現在の自己、未来にとらわれている自己、過去があるために現在に理由を持ち合せるなどなど。
 
舞台というのはフィクションを作り上げる現場。
かといってそれは実体を露出される恐い一面も合わせもっています。個と社会について、普段は自身に色をつけて人と接しなければならないとおもいます。
 
 安部公房という作者は読者を未開の地へと連れ出してくれます。
「世界の果てへ連れてって」と作品「壁」ではこのようなフレーズがありますが、世界の果てというのは、自宅アパート、部屋の壁への凝視に始まっています。
社会と部屋の境界線に壁があるなら内と外の境界線に皮膚がある。この辺りは「箱男」でも具体化されています。
 
 
5月8日(日) 第一部:秦 真紀子(ダンサー)/第二部:武藤容子(ダンサー)
そのわずかなものすごさ
(C) Emi
秦 真紀子 『nano-』
 
ふわふわ うにょうにょぐにゅぐにゅ…柔らかい身体と独自の言葉で擬音語ダンスを展開中。丁寧に繊細に動きを淡々と静かに積み上げる透明感のあるダンスを目指す。
 
 
4/25 出演者ミーティングより抜粋/秦 真紀子
 
3月、ダンスについていろいろ考える。自分の立ち位置を考える。
 
いろいろ考えても、やっぱり目先の事、この舞台の事で、いっぱいいっぱい。
 
そういう訳なので、もうあれこれ考えすぎたりするのは止めて、
あの場所にぽっといて、現在(いま)のからだでしか出来ないようなところでやりたいというのがある。
 
そぎ落として、自分の芯からしか出来ないようなところだけでやりたい、というのがあります。
鈍くて鋭い、
生身のからだを横たえて、
ほんとうの幸いを夢想する?
(C) 大久保由利子
武藤容子 『続・ほんとうの幸い』
 
いま、私は待ってる。
ひたすら、じっと、寡黙に、凝視しながら。
立って待つ、寝て待つ。
這って、ライダーキックで、卍固めで待つ。
で、何を待ってるの?
秘密
あは、待ってるうちに忘れてしまった。
忘れてしまったカラダ
とっちらかったカラダ
秘密のカラダ
ぐふ、待ってるうちに
カラダの方から会いに来てくれた。
今日
嬉しい、いとおしい、
ありがとう。
んで
あなたにも会いたいそうです。
ご一緒できれば、
幸いです。

 
企画プロデューサー 岡村洋次郎|コーディネーター 宮田徹也|照明 三枝 淳|フライヤー表写真 大久保由利子
スタッフ 坂本康郎・吉村ひろの|主催 東京バビロン http://www.tokyobabylon.org