『一粒の豆』 稽古場日誌

○ 木村由

ここ2,3年ちゃぶ台の上で踊ってきた。今回「踏みはずし」ではちゃぶ台を使わな
いと決めたとき、正直言ってちょっと開放されたような気分になったりもした。

いつも使っている近所の稽古場で、ちゃぶ台の上ではなく、フロアで踊りを考える。
というか、じっと踊りが発生するのを待つ。腰の辺りからボアボアと次第に踊りが生
まれてくる。
ふっと、なぜか右手をお椀状にし、掲げながら踊りが始まる。
今回はここから作品を作っていこう・・・・・。
この手には何があるのか・・・何を持っているのか・・・?
水、糧、血、肉か・・または、記憶か、過去か・・・それとも、空虚か・・・。
様々なモノが見え隠れする。
実際には手に豆を置くことにした。「一粒の豆」である。
豆という目に見える形はしているが、体を介して、様々なモノに変化していく。
それは、一歩一歩の足の運びと共に、体に伝わってくる・・・。

こうして、私の旅は始まった。




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